[アディクションとは]のコラムで説明したように、アディクション、嗜癖行動に走らざるをえなくなる、その背景には、過度のストレス状況や、パーソナリティーの歪み、うつ病や神経症といった病気がかくれている場合がほとんどです。
したがってこれらの嗜癖行動を治すためには、背景にあるものに目を向けて、その点の治療をしていかねばなりません。 しかし、嗜癖行動の治療は難しく、薬をのんで治るというものではありません。 いったん回復に向かっても、すぐに元の“泥沼”状態に戻りやすいのが特徴です。仮に本人の意思で治療して回復しようという気持ちをもっても、これは、くじけやすいものです。 そこで、これらの嗜癖の問題に対しては、「集団療法」や自助グループに参加することがすすめられます。同じような体験をもつ仲間の、体験談や助言を聞き、話し合い、励まし合うことで孤独感を和らげ、新たな人間関係を作ることによって、“しらふ”で生きていくための知恵や良さを改めて学んでいくわけです。 このことが嗜癖行動からの回復には有効です。 このような回復へのきっかけや動機付けを得るために、アルコールの治療を行っている精神科の病院に、一定期間入院する(教育入院)ような治療も行われています。 なお、アルコール依存症の場合、単に酔って暴れている、というだけでは、必ずしも入院の対象ではなく、また強制的な入院(家族等の同意を得てなされる医療保護入院)をさせることはできません。 強制的な入院(本人が同意しない入院)になり得るのは、アルコール依存に伴って、幻覚妄想状態になったり、アルコールの離脱期に起こる、振戦せん妄状態などの精神病状態(現実の認識が著しく損なわれ、行動のコントロールが困難な状態)の場合に限られます。 その他の場合には、本人の同意がないと、入院治療もできないことになっています。
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