家族と本人が「うつ」に対して正しい知識を持ち、家族の暖かい協力が、うつ病を治療する上で必要になります。 ①現在の状態が「うつ」によって引き起こされたということを理解する。 「うつ」の状態になっていても、体の病気のように目に見える症状が少ないため、家族は病気であることを理解できないことがあります。これは本人にとって、大変つらいことです。本人の「きつい」「しんどい」という気持ちを理解してあげて、責めないようにしてください。現在の状態は、本人の責任ではありませんし、怠けているわけでもありません。また、「気の持ち様」で良くなるといったものではありません。 ②できるだけ休養をとらせる。 気分転換をさせようと、外出や旅行を勧めることが、かえって患者さんの負担になることがあります。できるだけ、家でのんびりと休養させて睡眠が十分に取れるように配慮してください。 ③むやみに励ましたりしない。 家族や職場の仲間は、良かれと思って、「がんばれよ」とか「しっかりしなくちゃだめよ」といった声をかけてしまいがちです。しかし、患者さんは、がんばろうと一生懸命に努力しているのにも関わらず、体も頭も動かずにどうしようもないという状態になっているのです。そのため、周囲が励ますことで、かえって自分を責めてしまい、ますます落ち込んで、状態が悪くなる可能性もあるのです。 ④焦らずに余裕を持って対応をすること。 患者さんは「うつ」のために、将来に悲観的になったり、あせる気持ちが強くなっています。そのために、「仕事を辞めたい」とか、「引っ越したい」と考えてそれを実行してしまい、後悔することがあります。「うつ」が治るまで重大な決定はしないで、先送りするようにすすめましょう。「うつ」は必ず治りますので、「元気になってから考えればいいから、今はのんびりしましょう。」とゆったりと接したほうが良いようです。家族の方がオロオロしてしまうと、患者さんも慌てて混乱してしまいます。 ⑤根気良く治療が続けられるように援助すること。 「うつ」は治療に時間がかかり、一進一退しながら良くなるものです。症状の変化に一喜一憂せず、気長に治療が続けられるように、負担を減らすようなバックアップ体制を取って下さい。また、お薬をきちんと服用できるように援助して下さい。 ⑥「死にたい気持ち」に気を配り、自殺を防ぐよう注意すること。 憂うつな気分は、本人にとって外見よりもはるかに深刻な場合があります。家族が本人を励ましたり、説教を重ねていると、患者さんは心の負担を重ね自殺するほど思いつめることがあります。しかし、この様な状況でも、家族の前では無理して明るく振舞っていることは少なくありません。患者さんに死にたい気持ちがある場合、心の絆を強めるために、「決して死なない」という約束をすることが、自殺の大きな歯止めとなります。
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精神科・神経科領域の疾病について
こちらでは、精神科・神経科領域の疾病についてのコラムを紹介しております。
コラムは少しずつ追加作業を行っておりますので(未掲載24件)、更新完了までいましばらくお待ち下さい。
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