病院やクリニックで精神科医が行う「精神療法」ですが、これには色々な方法があり、時間も10~15分程度から1時間くらいまでと様々です。 精神療法の中で一般的なものは、支持的精神療法といって、患者さんの訴えを十分に聴き共感をもって接し、問題のありかを一緒に考え、患者さんの不安や動揺を支える形での話し合いがなされます。多くの場合は、よく聴いてもらい共感してもらえたことや、たまっていた感情が発散されることで、気持ちがおちついたり楽になったりします。
さらに、性格やものの考え方、とらえ方、行動パターンなどについて、もっと深く探求していくような場合には、精神分析療法や認知療法、認知行動療法といった心理療法を行う場合もありますが、これらは支持的精神療法に比べて時間もかかり、エネルギーも必要とするので、日常的に行われるわけではなく、患者さんの側にも一定の条件(知性、時間的余裕、経済的余裕など)が必要とされます。
ちなみにアメリカの映画などに出てくるような精神分析療法は、1回1時間で週に5回、1回の料金が1万円とか2万円、といったかなり“贅沢な”治療で、長期間行うためには、治療者側にも患者さん(クライアントといいます)の側にも、それなりの条件が必要なわけです。したがって、日常の臨床における精神療法としては、だれにでも適用できる一般的なものではなく、治療効果の面でもその良し悪しが判定しにくいようです。
この数年カウンセリングが、癒しとともにブームになっていますが、カウンセリングを受けるということは、少なくとも自分に何らかの問題意識があって、その問題を解決するに当たって自分自身を変えようという気持ちが必要条件であり、単に不満やグチを長々とぶちまけたうえで、「私はどうしたらいいんですか。教えて下さい」といった態度では、カウンセリングの効果はあまりありません。 (→カウンセリングとは)
カウンセリングは薬物療法との併用で
精神病や、うつ病、神経症などの精神疾患の治療に際して、「薬はのみたくない、カウンセリングで治したい」という方も多いようですが、カウンセリングは、精神科治療の中では主役とはいかず(主役はやはり薬物療法です)、それだけで“病気”の治療をしてもうまくいかないことが多いようです。 基本的には、薬物療法とそれに精神療法を併用する、というのが最も一般的な治療法といえます。
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