アダルト・チルドレン(AC)

アダルト・チルドレン[Adult Children(AC)]とは、"Adult children of alcoholics(ACOA)"すなわち“アルコール依存症者の家庭に育って大人になった人”という意味で、アルコール依存症の親のもとで育った人々の精神病理を表わす言葉です。 アルコール依存症の家庭では、親がアルコール依存のために、暴力や夫婦ゲンカが絶えず、経済的・社会的にも破綻したような状況にあることが多く、そこで育つ子どもは生存や安全が保障されず、絶えず不安と恐怖にさらされることになります。 この場合、子どもは、その歪んだ家庭の状況に何とか適応するために、 通常の子供に許されるわがままや自己主張を一切放棄し、いつも親の顔色ばかりうかがって行動するようになります。 例えば、過剰にがんばり屋になったり、ピエロみたいに道化を演じたり、必要以上に良い子を演じたり、あるいは、逸脱して非行化したり、といったふうに、 いずれにしても自分の感情を押し殺して、偽りの自己を演じながら成長することになります。 児童期には一見、良好な適応をしているようにみえても、自分自身に対する自信がもてないために、青年期以降、社会の中で自立する時期になって、さまざまな場面で不適応をきたしやすくなります。 このような状況から、摂食障害やアルコール依存、薬物依存、リスト・カット症候群、社会恐怖症、さらには境界性人格障害といった精神病理現象へと発展していく傾向があります。